《MUMEI》

「ひなた、まだ起きてる‥?」

「ぁぁ、起きてる」

「あたし、いつ退院出来るかな」

「ちゃんと食べれるようになったら──」

「それっていつ?」

「っと‥」

「分かる訳ない、か‥」





戸田先生も、

佳代子さんも──‥

いつ退院出来る、

とはまだ言ってこないし‥。





真っ白な天井を見上げると、

何だか‥

何もない場所に吸い込まれてしまいそうで。





「早く家に帰りたい」

「‥そう、だよな」

「決まってるじゃない、少なくとも一生ここにいるなんて御免だもん」

「──明日は‥何買って来てやろうかな」

「ぇ」

「土産」

「‥別にいらないもん」





そうあたしが言ったら、

日向は苦笑した。





「お休み、那加」

「お休み‥」





ふと横を見たら、

日向の寝顔があって──

やっぱり、

天使みたいな笑顔をしてた。

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