《MUMEI》

「お前が食わねーから悪いんだろ?」

「ッ‥」

ああ‥

確かにそうだ。

けど僕は──

君がいきなり笑い出したから──‥。

「シ〜ズルっ」

「‥ぇ」

珠季の顔が──

目の前にある。

ただ

それだけの事。

なんだけど‥。

何故か

僕は上がってしまう。

‥何故だ‥?

「ぁ‥? やんのか‥?」

「!! ぉ‥落ち着けっ。僕は君を挑発したつもりは微塵も‥」

「ふーん。じゃあ食えよ、ほんとにアタシが食っちまう前に」

「ぁぁ──そうするよ」

彼女は

どうやら知らないらしい。

自分がどれ程

僕をドキドキさせているのかを──。

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