《MUMEI》 愛は会社を救う(95)「は、はいっ」 素ッ頓狂な声を上げて返事をすると、まるで雷にでも打たれたかのように全身をビクッと波打たせる。 反射的に、今にも立ち上がらんばかりの勢いで椅子から腰を浮かす。 あの山下仁美が、中腰の無様な姿勢のまま、泣きそうな目で高木の顔を見上げていた。 許しを請うような、あまりに情け無い眼つき。 その表情は、酷く何かに怯えているように見えた。 かつての気位の高い女王の威厳は、今や微塵も感じられない。 それはただ、若い女の声に怖気づく、四十路ハイミスの惨めな姿でしかなかった。 前へ |次へ |
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