《MUMEI》

──そういえば‥

あたしが日向を呼び捨てにするようになったのは‥

小4の頃だったっけ‥。





それまではずっと、

ひな君って呼んでた。





その方が、

呼び易かったから。





──でもある日‥。





「ひな君」

「日向でいいよ」

「ぇ‥」

「僕も那加って呼ぶから」

「‥‥‥‥‥‥‥」





最初は、

恥ずかしくて──

なかなか呼べなかった。





でも、

日向って呼ぶのはやじゃなかった。





日向の名前、

好きだから。





日向は、

ほんとに日向みたいにあったかくて‥

あたしの冷えきった心を暖めてくれた。





だから、

あたしは日向から離れたくなかった。





日向が離れたら‥

あたしは凍えてしまうから。

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