《MUMEI》 『ナカ──見つかって良かった』 『‥何で居場所分かったの‥?』 『ナカ、よく俺とここに来てたから』 日向はちょっとだけ笑って、 あたしに自分のコートをかけてくれた。 それから、 あたしの手を握って── 暖めてくれた。 『こんなに冷たくなるまで独りでいさせて‥ごめんな』 日向は何も悪くないのに、 謝ってきた。 悪いのは、 あたしなのに。 あたしは勝手に家を飛び出して、 日向に心配かけて。 それなのに日向は、 あたしを怒ったりしなかった。 前へ |次へ |
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