《MUMEI》

『帰ろう、ナカ』

『やだ』

『ここじゃ寒いだろ?』

『‥寒くないもん』

『震えてるぞ?』

『震えてないもん』





あの夜は、

どうしても家に帰りたくなかった。





だから、

あたしは日向に何を言われても‥

首を横に振り続けた。





『じゃあ、俺もここにいる』

『‥ぇ』





ほんとにビックリした。





その時、

ほんとに──

日向が天使に見えた。





──優しい天使に。

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