《MUMEI》

「ぉ‥、藤澤‥?」





先輩が、

顔を上げた。





「お前も弁当食いに来たのか?」

「ぇ‥」





──違う。




私は‥‥‥

私は渡したい物があって‥。





「藤澤‥? おい──」

「──あのっ」

「ん、ん‥?」

「これっ‥‥‥受け取って下さい‥!!」





もう、

恥ずかしいとか──

恐いとか──

そんな事は考えられなくて。





ただ、

私の想いを伝えたい──

それだけしか考えられなくて。





体が震えて‥

心臓がどうにかなりそうだったけど‥‥‥

私はその場を動けなかった。

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