《MUMEI》

私が初めて好きになった子は一コ上の、サッカーの上手な男の子だった。
外を走り回り日に焼けても気にしないような活発な子、私は女の子達に混じり、雲梯に上ってサッカーをする彼等を眺めた。

私の初恋は初めての異性からの告白で崩れた。
無知な私は彼女に好きな相手の名前を告げて振ってしまったのだ。

そして私に振られた当て付けに私の想い人といい仲になっていた。
私はそんなのを六歳で味わってしまったので、恋に夢を見なくなった。

当時、母が女の子が欲しかったせいもあって、私は髪を伸ばしていた。
オカマだと蔑まれ、男の子にも女の子にも属せずに私は独りで人気のない公園のブランコで遊んだ。


「……おねいちゃん、猫のきーほるだー知らない?」

私達とは違うキラキラした子。


「猫……、これ?」


「そう、それ。ありがとう、とても探してた。」

笑いかけるその子は私より幼い、可愛いというよりは綺麗な男の子だ。
神様のお使いみたいに綺麗な子。
私に遠慮がちにはにかんでいる。

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