《MUMEI》

「お、藤澤の弁当美味そーだな──」

「全部──昨日の残り物なんですけどね」





苦笑混じりに私が言ったら、

先輩は大真面目な顔をした。





「それでもすげーって──」

「先輩はおにぎりだけ‥なんですか?」

「いや──俺さ、早弁してっから昼飯はこん位で足りるんだよな」





おにぎりにかぶりつきながら、

空を見上げる先輩。





「俺──空見ながら飯食うの好きなんだ」

「どうしてですか?」

「何かいーじゃんっ? 自由! って感じでさ」

「───────」





先輩らしい──。





私は、

そう思った。

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