《MUMEI》
まさかの不覚
沙知は慌てた。このマシーンの威力は体感している。とても耐えられる代物ではない。
「やめて!」
早く機械を止めてもらわないとまずい。こんな卑劣な男に屈するわけには絶対に行かない。
「止めてください、お願いします」
真剣に訴えた。この状況では竜に止めてもらう以外に助かる方法はない。
「竜さんお願い、止めてください」
「名前なんか言ったってダメだぞテメー」
竜は笑顔。面白がっている。この男には、女の屈辱などわからないだろう。
「止めてください、一生のお願いですから」
「やなこったあ」
悔しい。負けたくない。まんまと屈服したら立ち上がれない。
「あっ…」
禁断のGスポットに入ってしまった。沙知は腰をくねらせた。
「色っぽいじゃねえか。つまみ強にしてもいい?」
「ダメ、ダメ」
赤い顔の沙知はひたすら顔を横に振ったが、竜はあっさり強にしてしまった。
「あああ!」
強烈な刺激が下半身を直撃する。沙知は竜を睨んだ。この男に止める気はないようだ。
「何だその目は?」
「止めなさいケダモノ!」
「ケダモノだあ?」
竜は笑うと、赤いボタンに手を乗せた。
「赤いボタン押していい?」
「ダメに決まってるでしょう」
「おまえこの機械に詳しいね」
竜は何のためらいもなく赤いボタンを押した。
「あああ!」
電気ドリルマッサージが作動した。クリトリスとGスポットだけでも無理なのに。沙知は悶えた。心で反発しても体は反応してしまう。
「くううう…」
両目を閉じ、歯を食いしばる沙知。この表情はドSの竜にはたまらなくセクシーに映る。
白い歯が美しい。竜はサディスティックな興奮に頭の中が真っ白になった。
「ぐふふふ」
嫌いな男に屈したくない。ましてや犯人に弄ばれて落とされたら耐え難い屈辱だ。
沙知は女の意地に懸けても、警察官の誇りに懸けても、負けたくなかった。
息が乱れる。観念したらすぐに負けそうなので、気持ちを確かに持った。
「頑張るねお姉さん」
しかしこの快感が長時間続いたら危ない。早く何とかせねば。
「あ、くううう…」
ダメだ。気持ち良過ぎる。どうにもならない。
沙知は手足に力を入れた。ベルトだから無理だ。外れない。
「やめろ、止めろ!」
「何命令してんだテメー」
竜は笑うと、まさかの攻撃に出た。この状態で両脇をくすぐりの刑!
「ぎゃあああ、はあ!」
力が入らない。
「やははは、やめ、はははははは!」
「ざまみろ、生意気な目するからだ。とことん困らせてやる」
「やあああ、やあああ!」
脇に腰に巧みに両手が移動して魔法の手指が沙知を困らせる。
力が入らないから耐えられない。
「あああん!」
「ほれどうする。とことん困らせてやる。とことん困らせてやる」
「ああ、あああん!」
いくら沙知が頑張っても、どうにもならなかった。
「あああ、あ、あ、あん……」
イカされた。打ちのめされた。
「はあ、はあ、はあ…」
マシーンのスイッチをオフにすると、竜は沙知の顔を覗いた。
「参ったか?」
沙知はキッと睨んだ。
「一生刑務所暮らしにさせてやる」
「何だとテメー?」
この挑発はまずかった。竜は荒々しくマシーンを外すと、いきなり服を脱ぎ出した。
「しまった!」
こんや奴に。死んでも嫌だった。沙知はもがく。
竜はたちまち脱いで全裸になった。沙知も全裸。危険過ぎる。
「やめなよ」
「うるへー!」
乗っかって来た。
「いやあ!」
(やられちゃう。どうしよう!)
「いただきまーす!」
「きゃああああああ!」
「竜」
「え?」竜が後ろを向く。
「何をしてる?」竹内の顔が怖い。
「竹内さん」沙知は涙目で見つめた。
「いやちょっと…たんま」
チョークスリーパーが入った。竜は数秒で失神。竹内は手錠を掛けると、竜の両手を取り、背中に膝蹴り。気合いを入れて起こしたが意識朦朧だ。
「このバカめが!」
また背中を蹴った。

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