《MUMEI》 「ファファ、Cat`sなのに。幸せの妖精だから正博君の事幸せにしなくちゃいけないのに。ファファばっかり正博君に幸せ貰って。だから……!」 「大丈夫、大丈夫だから」 言葉も途中に、田畑はファファの身体を抱く (幸せ)を他人に与える事ばかりを考え、与えられることには不慣れな妖精 受け取る事が出来ず、堪らなく不安に陥る そんな妖精が目の前、田畑のすぐ傍にいた 「正、博君……」 「大丈夫だ。お前が不安がる事なんてねぇから。本当、絶対に大丈夫だから、泣くな」 多くを語る事はなく、唯大丈夫の言葉を繰り返す 低く、聞き心地の良い彼の声が耳に触れ、ファファはほっと胸を撫で下ろしていた そして徐に笑えとファファに言って向ける 小首をかしげるファファへ 「笑えば楽しくなるし、幸せな気持ちにもなれる。そこからゆっくり探していけばいい。一緒にな」 笑って見せる田畑に、漸くの笑顔がファファに浮かんだ 可愛らしい、いつも通りのソレ 田畑が一番好いている表情だった 「笑ったな。なら、今から帰って苗の植え付けだな」 「はい!正博君」 早く帰ろう、と田畑の手をまた取り走り出す 元気になった様子にまた胸を撫で下しながら ファファに手を引かれての帰宅 鉢に土を詰め苗をそこに 顔を見合わせ、互いが浮かべる笑み 「きれいなお花が咲くといいですね」 余程楽しみなのか、その笑みは先程まで涙に濡れていたとは思えないほど明るく そうだな、と田畑の穏やかな声がその笑みに重なった 日当たりのよい窓際に置かれる鉢植え、傍らにはファファが寄り添って さの様が微笑ましく、田畑は僅かに肩を揺らしていた…… 前へ |次へ |
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