《MUMEI》

「‥分かんない」

「那加ちゃん?」

「日向、自分の事じゃ喜ばないんだもん」

「──じゃあ、那加ちゃんが嬉しくなれば──」

「あたしが‥?」





訊き返したら、

佳代子さんはニッコリして頷いた。





「那加ちゃんの幸せが、日向君の幸せなら──」

「‥無理」

「どうして?」

「あたし、幸せになんかなれないもん」





こんな病院で、

外にも出られないで‥

美味しくないご飯食べて‥。





それなのに、

幸せになんてなれる訳ないじゃない。





なれる訳‥

‥ない。

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