《MUMEI》
――― 桐の月
12月…最後の勝負…



兼松は、手配を一目流し見て、ニヤリッと笑った。



「桜に幕」「芒に月」…


そして「菊に盃」…。



男の手には、早々に勝負を決定づけられる札が、全て握られていた。



場には「桜の字札」「芒のカス」が晒されており、兼松の逃げ切りは容易い。



兼松は勝ちを確信した…。



まず兼松は「桜に幕」を「字札」に合わせ〆華の追い上げの役を殺した。



すると山札の返しは「菊の青札」だった。



『しめた!…』と樮笑む兼松の喜びも束の間…



〆華は無表情のまま「菊のカス」で「菊の青札」を刈り取った。

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