《MUMEI》

「おい」

珠季が

僕に呼び掛ける。

「おい静瑠」

声が

1度目より大きくなる。

「ッ‥」

僕が今どんな状況なのかを知らない彼女は

何も反応しない僕に

すっかり腹を立ててしまったらしい。

水の入ったグラスを掴むと‥

中身を僕にぶちまけた。

僕は

勿論防ぐ事など出来る筈も無く‥。

「ごほッ‥何をするんだいきなりっ‥」

もろに水を被ってしまった‥。

首から上だけだけど‥。

「目ぇ覚めたかよ」

「何も‥水をかける事ないだろう‥?」

「オマエが反応しねーから悪いんだ」

シラッと言って

珠季はケーキを食べ始めた。

僕は

何も反論出来ずに‥

ただ

呆然と彼女を見つめるだけだった。

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