《MUMEI》
スキーよりスケート
アパートの部屋に戻る頃から、足の痛みを感じていた。


それが、久しぶりの筋肉痛と


初めての靴擦れだと気付いたのは、夜の事だった。


(あれだけでも、意外と疲れるもんだな…)


変に感心した俺は


(スケートでこれならスキーはどうなんだろう)


そんな事を考え


報告と一緒に忍に質問してみた。


そして、俺が知った事は


スキーの方が疲れる事と


スキーの方が金がかかる事だった。


(柊には悪いけど、スケートで良かったよな)


スケートは普通の服装で、貸し靴代と入場料がかかるだけだった。


(そこまで本格的にスキーやるつもりは無いし)


そんな俺を忍は


《お前、意外と貧乏性だよな》


そう言ったが、俺は旦那様の遺産で生活しているのだから、無駄遣いをするつもりは無かった。


そして、この俺の決断は


当然、柊を悲しませ


ついでに


拓磨を悲しませる事になった。


志貴は、基本的に拓磨と二人きりではなく


俺も誘い


俺の意見を尊重する傾向があった。

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