《MUMEI》

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指先で涙を拭われた。
  [泣いていた?]

  「自惚れるな。」
指をくわえた。黒い革の手袋をした人差し指である。

歯を立てた瞬間、びくついた振動に高ぶった。
  「いい反応だね」

舌を巻き付けた。蕩けてしまうように唾液に浸す。
目を開けることもままならない。喉の奥が熱い。
欲している。

    [離して]
打ち込んだ画面をアラタに見せた。


 拒んだ?
   俺を、この俺を



強く味が出るくらい顎に力を込める。

時間割を貼っていた画鋲を引き抜いて、手の甲に刺した。

ベッドの上で煉獄は跳ねる。重心を崩してアラタの肩と耳の間に突っ伏した。
アラタかの首から腰へ襷掛けになるように覆いかぶさる。



「気持ちいい?
痛覚あるのに声に出ないね、我慢強い子。」
首に腕を回して頭を撫でてやった。

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