《MUMEI》
ドラゴンスクリュー
竹内は沙知に歩み寄ると、落ちていたバスタオルを拾い、彼女の体に優しく掛けた。
「大丈夫か沙知?」
「ありがとうございます。助かりました。ダメかと思った」
竹内は沙知の美しい顔を見つめた。沙知は緊張した。
竹内はふとベッドの下を見る。無造作に悶絶マシーンが置かれている。
「!」
竹内はこの世の終わりのような顔をして、沙知を見た。
「まさか…」
「大丈夫です、大丈夫」
「本当か?」
「ええ、大丈夫」
その頃、淳平と法子と夏美は、恐る恐る廊下を歩いていた。
「夏美、沙知がいる部屋はどこ?」
「この先です。裸だったから、急がないと」
「裸?」
「淳平。妄想すんな」
「不謹慎ですよ赤山さん!」
「裸で手足縛られていたから」
「嘘!」
部屋の近くまで来たが、荒瀬が待ち構えていた。
「うっ…」
淳平は力士のような巨漢に怯む。
「行け淳平!」
「しかし」
「頑張って淳平さん!」
淳平は荒瀬に突進。
「やあああ!」
張り手一発!
「あっ……」
終わった。
ダウンする淳平に、法子が男の声真似。
「バカヤロー。貴様それでも刑事か!」
「淳平さん大丈夫?」
法子はいきなりハスキーな声に変わる。
「ジーパン。俺の目を見ろ」
荒瀬は怒って歩み寄る。
「舐めてんのかテメーら!」
「わあ!」
法子と夏美は壁を背にして蒼白。
「遊びじゃねんだこらあ!」
そこへ岡松悠二が登場。今いち頼りないが男の刑事だ。
「岡松さん頑張って!」
夏美の黄色い声援を受けて、岡松も燃える。
「ついに私がクンフーの達人だということが、バレる日が来ましたか」
すると、岡松は構えた。
「アチョー!」
しかし荒瀬が強引に捕まえる。
「たんま」
上手投げ!
「がっ…」
終わった。
「何で上手投げで終わるのよ!」法子は怒った。
淳平と岡松がダウン。今度は鍋咲学が登場。刑事ドラマのように一回転。幼稚園児のでんぐり返しよりひどい。期待は薄かった。
「おまえ、相撲部やろ?」鍋咲が笑う。
「なぜわかった?」
「わいも相撲部や。自信あるなら相撲で勝負せんか?」
「望むところだ」
岡松はいきなり行司を務める。
「待ったなし!」
なぜか軍配を持っている。
「はっきょーい、のこった!」
鍋咲が猫だまし。荒瀬の目の前でパンと手を叩いた。何の意味があるのか?
荒瀬は上手を取ると、豪快にぶん回して上手出し投げ!
「おーたーすけー!」
鍋咲は長い廊下を滑ってそのまま壁に激突。怒った。
「危ないやないか。怪我したらどないすんねん!」
法子と夏美は顔を見合わせた。
「この人たち、刑事?」
「さあ」
そこへ、有島課長が登場。
「課長!」
最後の砦だ。有島は荒瀬に突進。右膝めがけて低空飛行のドロップキック!
「あああ!」
荒瀬が崩れた。有島は素早く右脚を取ると、ドラゴンスクリュー!
「ぎゃあああ!」
脚を捻ってダウン。すかさず右脚を掴むと膝十字固め!
「やめろ、やめろ!」
「今だ!」
鍋咲と岡松と淳平は3人がかりで荒瀬に手錠を掛けた。
「よし!」
しかし田中が来た。サングラスを廊下に滑らせると、いきなり突進。
有島は屈んでショルダースルー!
「がっ…」
田中は背中から落ちた。何とか立ち上がるところを電光石火のドラゴンスクリュー!
「ぎゃああああああ!」
脚を負傷したか。田中は片膝をつくが立てない。有島はプロレスLOVEポーズ。
機敏に田中の膝の上に飛び乗り、頭部に膝蹴りのシャイニングウィーザード!
決まった。
ダウンする田中。また3人がかりで逮捕。
まだいた。いちばんの巨漢。スキンヘッドの小林。
「今こそ警察官への恨みを晴らす!」
小林が殴りかかる。有島はパンチを交わしてローキック。足を掴まれた。そのまま強引に高々と持ち上げて、有島の脚を自分の膝に落とすニークラッシャー!
「課長!」
有島は左脚を痛めた。
「しまった…」
小林は手ごわい。

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