《MUMEI》 珠季の 後ろめたげな表情を見ている内に── 僕は気付いた。 彼女は 怒って僕に水をぶちまけた訳じゃない。 大丈夫か? そう訊けなかったからなんだろうな‥。 火照っているか 熱があるか── とにかく‥ 何か僕の様子がおかしいと悟った彼女は── 頭を冷やせば正気に戻る‥ そう思ったみたいだ。 「──珠季」 「‥ん」 「有り難う」 「!?」 今度は 珠季が赤くなった。 「バッ‥何だよアリガトウって!? アタシはオマエに水ぶちまけたんだぞ!? 怒るとこだろそこッ」 前へ |次へ |
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