《MUMEI》

「‥おい、どーかしたのか?」

「ぁ‥ぁぁ」

「何だよ」

「彼は──‥宮上は‥」

「たぶんな」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「でもアイツ──アタシに言ってくれたんだ。アタシは、オマエといる方が楽しそうだって」

「宮上が‥?」

「そんで‥『ちゃんと──気持ち伝えてな』って」

「そうか‥‥‥」

「だからアタシ、決めたんだ。アイツの為にも、ちゃんと告んなきゃって。‥でもまぁ、結局ぶっきらぼうな感じになっちまったんだけどな──」

「フ‥、確かにね。けど、君らしい告白だったよ」

「‥ぇ」

珠季が

また赤くなっている。

「てめッ‥まだ覚えてんのかよ!?」

「当たり前だろう? 忘れる筈無いよ」

あの日の事は

よく覚えている。

何せ──

僕らが恋人になった日なんだから。

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