《MUMEI》

携帯が、樹のポケットの中で震えた。
この真夜中に携帯が振動するのは奇妙だ、樹は恐る恐る見知らぬメールを開く。
無題の、メールで





白縫を返せ、ゴミ捨て場にて待つ





と無駄の無い文面だった。

「……白縫と書いてます。俺は何処まで信用していいのですか?」
今の衰弱したアラタには酷だが、樹はメールを見せた。


「…………ああ、迎えに来たんだ。」
アラタの意識は『白縫』という単語で僅かに取り戻した。
渇いた唇からは乾いた笑いが漏れている。
蒸した気温が二度下がるような笑いだ。


「連れ添います。」


「嫌な臭いだ……帰ったら血液の臭いを流さなければ……きっと、すぐには無理だろうけれど。」
アラタが樹に身を起こされながら手首を嗅いだ。
樹には自分の体臭の方が勝っていてかえって申し訳ないほどだったが、特にアラタの感想は頂け無かった。

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