《MUMEI》

それが、

凄く嬉しかった。





その頃から、

あたしは日向を大好きになっていった。





ほんとは、

それより前からそうだったのかも知れないけど──。





とにかくあたしは、

日向の事が大好きで。





──構って欲しくて、

振り向いて欲しくて。





わざとわがまま言ってみたり、

駄々こねてみたり。





そんな不器用なやり方でしか、

あたしは気持ちを表せなかった。





好き、

なんて言葉は、

言えるはずもなくて。





今も、

心の奥にしまい込まれたまま──‥。

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