《MUMEI》 「あの、見学‥してもいいですか‥?」 伏せ目がちに、 藤澤が訊いてきた。 いつもの事だし── そう思って‥ 俺は頷いた。 「ボールにぶつかんないようにな‥?」 そう言ったら、 コクッと頷いて── 藤澤は隅っこの方に行った。 ピン、 と背筋伸ばして立ってる藤澤は、 何だか日本人形みたいだ。 「流、何ぼんやりしてるの──サボってないで準備体操しときなさい」 部長が言ってきたのに気付いて、 俺は慌てて‥ みんなのとこに走った。 前へ |次へ |
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