《MUMEI》
出立
「ああ〜ゾンビだらけだ〜。右を見てもゾンビだし、左を見てもゾンビだ〜。そして正面を見るとみせかけて!後ろを見ると〜、ゾンビっ!かと思いきやタカでした〜。」
「……けっこう余裕あるね、ケン。」
このちょっと天然が入った男は、名前を加藤高史という。一見して常識人のようだが、先ほどのゲームのくだりのように少しセンスがトんでおります。オレとの間柄は幼なじみ兼友達。
「一人でしゃべってると変な目で見られるからやめたほうがいいよ?」
そしてモノローグをうっかり口に出してしまうお茶目で小粋な青年が、オレこと山田剣である。二人ともこの風山町で生まれ育った風山っ子だ。歳は17、まだマスクとサングラス無しではブツを手にいれることの出来ない歳だ。
「変装しても法律的にはアウトだけどね…」
そんなごく普通の高校生であるオレ達だけど、今はちょっと異常事態だったりします。はい、平たくいうとバイ○ハザードですな。
「そういうとこ(版権関係)はマメだよね。」
「まあ、昨今はいろいろとうるさいからな。」
例えるならば、サファリパークに迷い込んだ国産牛、白血球に囲まれた弱小ウイルス、チーマーが集会中のゲーセンにうっかり入店してしまった中学生(体験談)。この絶望的な状況を主人公達はどう打破するのかっ!?
「ねぇ、終わった?」
タカが退屈そうに聞いてきた。
「ああ、完璧なあらすじができたぜ」
オレはテープレコーダーのスイッチを押し、録音を完了した。
「……いつも思ってたけど、本当にケンってイレギュラーな性格してるよね。」
「そうか?」
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