《MUMEI》

「──なぁ」

「ん‥?」

「何ボケッとしてんだよ、さっきから‥」

「ぁ‥ぁぁ‥済まない」

つい

懐かしさに浸ってしまっていたみたいだ‥。

「さっさと食えよ、ほら──次ゲーセン行くっての忘れてんのか?」

「ぃゃ、ちゃんと──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「珠季‥?」

「───────」

珠季は何も答えずに

カフェオレの残りを飲み出した。

ズ‥

ズズ‥

とストローが鳴る音がしているにも関わらず──

珠季はまだストローを咥えている。

「もう‥空なんじゃないか? グラス‥」

「‥っせぇ」

「───────」

「ぁ‥? 何笑ってんだよ」

「ぃゃ、笑っている訳じゃ無いよ」

僕はそう言いながら──

笑いを噛み殺すのに必死だった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫