《MUMEI》

「ねえ‥優真君は、亜沙美さんが‥‥好きなの?」



えっ?


「‥そうだよね?」



‥‥。



「なんで‥‥わか‥ったの?」



俺は確かに、
亜沙美が好きだけど‥。

回りには
バレないように、
してたつもりだった。



「‥‥私、優真君が‥‥好きです。」


は?



「‥ずっと、見てたの。‥優真君の事‥‥嫌でも分かっちゃうよ‥‥。」


翔子はうつ向いた。



‥嘘だろ?

翔子が俺を好きなんて‥。俺なんかを
好きになってくれたなんて。



俺は‥翔子を好きになることも出来なければ、
翔子の為にしてやれることも、ないのに‥。



「翔子‥ごめん‥‥ごめんな‥。」



俺は翔子の頭を撫でながら、うつ向いている彼女の、目を見て言った。




翔子の目から涙が溢れだし、彼女は首を大きく横に振った。



「私こそ‥‥ごめんなさいッ‥優真君がッ‥‥亜沙美さんのこと‥好きなの、気づいてたのにィ‥‥っ」



翔子は優真に何回も謝った。

















「落ち着いた?」


翔子は頷く。



「翔子‥ご「もう、いいよ。」


俺が謝ろうとしたのを翔子が止めたので、それ以上は何も言わなかった。




「私こそ‥ごめんね?」


謝るのは
俺の方だ‥。


翔子に何も出来ない
俺の方だよ‥。




「私、優真君が好きだから、優真君の幸せを一番に‥‥願うよ‥。」


翔子‥。


「ありがとう‥翔子」



「‥なんて、好きな漫画の受け売りだけど(笑)‥‥私の方こそ、ありがとう。私の初恋の人が、優真君みたいな人で本当に良かった。」



「え?初恋だったの?」





「‥‥うん‥初恋は実らないって言うからね!‥‥もう遅いし、帰ろっか。」





翔子は俺に背を向けて歩き出した。

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