《MUMEI》

僕らが席を立ったのは

喫茶店に入ってから1時間後の事。

「はー‥やっとかよ」

珠季は

待ちくたびれたみたいだ。

「オマエって‥ほんっとマイペース野郎だな‥」

「有り難う。褒め言葉として受け取っておくよ」

「褒めてねぇッ」

即座に

珠季が反論してきた。

「だいたいなぁっ、デートだってのに──」

「いつも慌ただしくてね──君といる時間位はゆっくりと過ごしたいんだ」

「‥なッ‥」

「さて──案内してもらおうか、ゲームセンターへ」

「ッ‥、こっち」

珠季は

少し乱暴に僕の手を掴むと──

ズンズンと

繁華街の方に向かって歩き出した。

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