《MUMEI》

「何も持ち歩く事ないのに‥」

「何か持ってたくてな──」

「〜〜〜‥意味分かんない」





‥何であたし、

こんな事ばっかり言っちゃうんだろ。





持っててくれてありがと>氛

そう、

素直に言えばいいのに。





「なぁ那加──」

「?」

「犬に出くわした時──那加が追い払ってくれたんだよな」

「ぇ、そうだった‥?」

「白い、大きな犬で──‥俺、腰抜けてさ──」

「ぁー、そうだったそうだった」





日向ってば、

へたりこんじゃってガタガタ震えて。





あんなに日向が恐がってたのは──

あの時位なんじゃないかな‥。

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