《MUMEI》


「買ってきた!買えたよ、大人一枚子供一枚」

聖ちゃんは自慢げに俺に子供切符を渡した。

「浮いた分でお昼美味いの食べようね」

「そうだな、あ、財布バッグに入れとくな」

聖ちゃんは二人分の荷物の入ったボストンバッグを開け、俺の財布を入れようとしている。
「あ、財布ケツポケでいーよ」
「ダメだって、なくしたらどーすんだよ、なくしたらごまかした意味無くなるじゃんか!」
「…確かにそうだね」





改札口に差し掛かった瞬間いきなり聖ちゃんは立ち止まった。

「あ〜なんか腹痛くなってきた!」
「も〜あんなに牛乳飲むからだよ!」
「ちょっと持ってて!」
聖ちゃんは俺にキャンディと風船を渡した。
「飛ばすなよ!」

「分かってるよーもう、フフッ聖ちゃんったら…」
風船そんなに気にいったなら、帰ったらコンドームいっぱい膨らませてやろう。

「あ、トイレにティッシュなかったらやだからバッグ!」
と、言いながら聖ちゃんはボストンバッグを掴んだ。
「ティッシュだけ取れば…」
「間にあわないっ!ちょっと時間かかるかもしんないからさっきのキヨスクの前で待ってて!じゃあっ!」


聖ちゃんは慌てて走って行った。





なんでキヨスクなのか?まだ何か欲しいものでもあったのかな?


電工掲示板を見ると俺達が乗る予定の新宿行きあずさ〇号は発車2分前になっている。


もう間にあわない…
でも急ぐ訳じゃないし一本ずらすか。


しかし聖ちゃんなかなか戻ってこないなあ…


そんなに腹痛いなら薬局もいかなきゃダメかと考える。

『♪♪♪♪♪』


風船を股に挟み、慌ててケツポケットから携帯を取ると、聖ちゃんから。

「大丈夫?聖ちゃんっ!」

『貢のバーカ!』





−−−−…

「へ?」

するとあずさが今出発するアナウンスが流れ、携帯からも聞こえてきた。


『扉が閉まります




バシュン…






『俺先に帰ってるからな!
ちったあ反省しろ馬鹿!俺がガキに見えんの散々気にしてんのよ〜く分かってる癖にひで〜事しやがって!
ふざけんな!つか俺は中一から大人料金しか払った事ねーし!

俺の気持ち分かれ!俺の長年の屈辱思い知れ!』

「ひじ…」



プツッ……


「聖ちゃあんッッッ!!」

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