《MUMEI》
4話 僕らの相性
「───────」

こっちの方に来るのは久し振りだな──。

繁華街というだけあって

かなり人通りがある‥。

「おい、迷子になんなよ‥?」

「君が僕の手を離さなければね」

「ッんだそれっ!?」

これ以上無いという位に

赤くなる珠季。

「てめっ‥ケンカ売ってんのか!?」

「いや、そのつもりは無いよ。むしろ──‥」

「‥ん、何だよ。‥おいッ!?」

僕に引っ張られて

駆け出す珠季。

「おいてめッ‥何なんだよいきなり走りやがって‥」

「ぁ‥ぁぁ‥済まない‥。だけど──」

「ん‥」

「あれ‥君にどうかと思って」

「ワンピースならもう持ってんぞ」

「春物は持っていないだろう?」

「ぅ‥うっせーな、だったら何だってんだよ!?」

「付いて来てくれ」

「なッ‥こら放せーっ!」

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