《MUMEI》 そこまで言って、亜由乃は苦く笑う。 「何いってるんだろうね。でもね、こわかったの。」 「・・・どこで会ったの、そいつ。」 「・・・朝、学校で。ケルベロスと一緒だったんだけどね、あの子、すごく吠えたんだ。」 亜由乃は、小さな溜息をつく。励ましたくて、たまらない。 「まあ・・・さ、大丈夫でしょ。その人、男?」 「えっ、あ、たぶん。」 「じゃあさ、亜由乃、その人に一目惚れしたんじゃない?」 「ええっ!!?」 亜由乃の顔は、見るまに赤くなった。形のいい唇をとがらして、怒ってみせる。 「ひどーいっ!本気で怖かったのに!」 「あははっ!ごめんって。」 なだめると、おどけたように舌を出す。 その仕草に、さっきまでの不安はなくて、心の底からほっとした。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |