《MUMEI》

『‥ぁ‥‥‥ぁ‥』

『ひな君ってば』





肩を揺すって、

呼びかけたら。





『‥こ‥‥‥腰抜けた‥』





そんな返事が返ってきて、

あたしはポカンとした。





『ぇ‥?』

『ごめんナカちゃん‥、手‥貸してくれる‥?』

『もぉ‥』





あれが、

あたしが初めて日向に手を貸した事だった。




日向を引っ張り上げて、

立ち上がらせて。





でもあれ以来、

あたしは日向に手を貸してない。





あたしはいつも、

手を貸してもらう側。

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