《MUMEI》

どんな時でも、

日向はあたしに手を貸してくれた。





マラソン大会で、

捻挫した時も。





登山の時、

疲れてしゃがみ込んだ時も。





雪に足がはまって、

抜けなくなった時も。





いつも、

日向が手を貸してくれた。





──その手は、

冬でも日だまりみたいにあったかくて。





その手に触れてるだけで、

安心出来た。






「──那加」

「何?」

「大丈夫だからな」

「分かってるもん。ていうか、日向はどうなの?」

「俺‥?」

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