《MUMEI》 言い合いをしながら まだ洋服店にいる僕達‥。 「‥ヤダ」 「君に似合っていると思うけどな──」 「だッから何でピンクなんだよっ」 「グレーも悪くは無いけど──‥君にはやっぱりピンクが合うかと」 「〜〜〜〜〜〜‥」 これ以上言っても無駄だと悟ったのか 珠季は反論を止めた。 バッとワンピースをひったくると 「覗いたら承知しねーかんなッ」 そう言って 試着室に籠ってしまった。 「───────」 思わず 苦笑が洩れる。 可愛い── そう思ってしまう。 去年ワンピースを見立てた時も── 確か こんな感じだったな──。 何だか 僕は 何だか懐かしい気持ちがしていた。 前へ |次へ |
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