《MUMEI》
実家に帰らない理由
夕食は何故か果穂さんが強引に選び、一方的に宅配で送ってきた物で、かなり豪華な内容だった。


代金も既に支払い済みで


特に好き嫌いの無い俺と屋代さんは、有り難くそれを頂いていた。


(逆らったら怖いし…)


「…高山家に泊まるよりはましだな」

「え!?」


屋代さんがポツリと言った一言に、俺は過剰に反応した。


「俺が実家に帰らないって慎と志穂が話してるの、祐が聞いたらしくてさ…

で、果穂さんに伝わって…

だから、正直田中君がいて良かったよ。

マジ助かった…」

「いえ、こちらこそ」


(そりゃ、行きたくないよな)


俺は、果穂さんと厳のセクハラまがいの言動や、あのノリが苦手なだけだが


屋代さんは、…秀さんにものすごく嫌われている。


(それ知ってて誘う果穂さんも、果穂さんに伝えた祐もオニだな…)


日本酒を飲み干し、ため息をつく屋代さんに俺は同情した。


「…実家もなぁー…いい加減、俺も年だから諦めてほしいんだけどなぁー…」


そして、屋代さんは酔った勢いで


実家に戻ると見合いを


女性との結婚をすすめられて困ると、悲しそうに語った。

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