《MUMEI》 老芸妓は溜め息をひとつついた。 『付き人…運転手…何でもやって貰うよ…。』 しゃ枯れた声で言うと、まるで悪餓鬼の頭を撫でるように、猪俣の頭をポンと叩いた。 『恩にきるよ…伯母さん…』 鬼神の目は、子供の頃を思い出したかのように、涙ぐんでいた…。 ゚・:*:.。*。.:*:・゚*゚・:*:.。*。.: 菖蒲の間に、札を張る小さな音が繰り返される…。 場には手配時から「萩に猪」と「萩のカス」が忘れられたように晒されていた…。 その二枚の「萩」は、この後に訪れる大きなうねりの呼び水となろうとは――… 兼松の知る処ではなかった。 前へ |次へ |
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