《MUMEI》

「おーい、那加ー?」

「ぇ、‥な‥何よっ」

「何かぼんやりしてるから‥どうかしたのかと──」

「べーつに?」





あたしは、

2発目用に構えてた枕に顔をうずめた。




「何か憂鬱──晴れたみたいだな」

「ぇ」





顔を上げたら、

目の前で日向が笑ってて。





そっと、

あたしの頭を撫でてきて。





「やっといつもの那加に戻った」

「‥ぇ?」





いつもの‥

あたし‥?





「ていうかっ、ぃ‥いつまで頭撫でてるのよっ」

「──ぇ、嫌だったか‥?」

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