《MUMEI》

それに、厚手のジャケットで隠していたがいつもヌードの女性モデルを見ているから分かる、あの中には結構な宝物が隠されている事を…。



ショーが終わると僕はバックステージから飛び出して、プレスの居るパーティー会場に急いで駆けつけた。

ドキッとするくらい特徴的だったからすぐに見つけられると思ったのだが、会場のドコを探してもその彼女の姿を見つける事は出来なかった。

もしかしたら招待されたプレスじゃないのかもしれない…。

そう気付いて探しに行こうとしたら、知り合いのデザイナーが話しかけてきて、足止めされてしまった。





翌日、あのショーに来ていた人のリストを、僕のコネなどを色々使い、あるルートから独自の手を使って入手した。

知っている人名と、男性名、それとヨーロピアンでは無い事は外見から見て分かったのでそれらもチェックして外していくと、その中に見慣れない音感の文字を見つけた。

”Sakura…”

…サクラ…。

何だろうと思って慣れない辞書なんかを使って調べてみたら、美しく華やかな樹木の写真と共にそれは”日本”という国の”桜”という植物だと紹介されていた。




「サクラ…という事は日本人かな…」

日本人といえば目が細くて気難しい技術者集団だと思っていた、という事を仲間内で話したらその中の一人にアンティークな写真を見せられた。


その写真の女性は黒い瞳が丸く特徴的で、小さな手指がとても可愛らしく、全体から醸し出す愛らしさがあのステージ下で見た彼女の雰囲気に似ていた。

それは”芸者”という、昔の若い日本人女性の写真だと言っていた。

その後、その写真を持っていたそいつは、とことん日本について熱く語っていた。

  

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