《MUMEI》

「‥ぁ"ーッたくあンのヤロー‥」

「──おーいっ!」

「‥ん」

珠季が

振り向く。

そして──

目を円くした。

「なッ‥何だっ、そのでっけーヌイグルミ!?」

「取ったんだ、あの機会から──」

「UFOキャッチャー‥動かしたのかよ」

「何とか操作方法が分かってね」

「───────」

「はい」

「‥ぇ」

「さっきのお詫びと──助けてくれたお礼だ」

「はッ!?」

「こういうファンシーな物は嫌いかい?」

「‥っべ‥別に‥キライじゃねーけど‥」

「なら、もらってくれるね?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

珠季は

黙ってヌイグルミを抱えた。

「‥デカ過ぎだっつの‥」

赤くなった顔を僕から背けて

彼女はそう呟いた。

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