《MUMEI》

描いているときは孤独。

幾つもの光に隠れた残像を思い浮かべては私の目でコピーし、色にして白いキャンバスを埋めていく。

隣にいる人は私の絵を見た瞬間からここに侵入することを許される。

なかなか入ることは許されないが
稀に勝手に侵入できる才能もいる。
それが、ルナだ。


彼も私もこの世界は永遠ではないことや、
どん底まで引っ張られることも、
十分に承知している。

そんなせいか、
私達は深層心理をどこかで共有してしまったらしい。


振り向いたことは今日画材室から美術室に移動して描いてるとき一度もなかったのに。


塗りかけのベースの色が
酷似している。

 うっとりするオレンヂ。
同じ空間でいると
ごくたまに起きる
奇妙な偶然だ。

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