《MUMEI》

「余計な事喋んないで」

「はっ‥はい、申し訳‥ございません‥」

「──蘭」

「ぇ」

「‥聞かなかった事にして」

「───────」

「お兄様にも話してないの。蜜にも‥。‥だから誰にも言わないで」

「苺ちゃん‥」

「──お願い」

「ま‥任せて下さい♪」

「‥うん」





苺ちゃんは、

ちょっとだけ安心したみたいな顔してた。





「──惷」

「はい」





日下部さんは、

苺ちゃんの後を付いて行く。





扉を抜ける直前、

こっちを振り返ってペコッとお辞儀した。





私も、

慌てて頭を下げた。

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