《MUMEI》
彩詩の授業(地理2
「こっちの大陸は、デーレランドって呼ばれている大陸。こっちの大陸には「ナイトメア」って呼ばれている魔族中心国家と「ウィンクロー」って言う有翼人種達の国があるんだけど・・どっちもアレト大陸と国交は無いんだ。船とかは出てるけど、国を挙げての繋がりは無い、まぁ移民とかは結構いるよ。もう一つ、この大陸には森が多くて、未開の地が大陸の3分の2くらいあるんだよ。噂だと古代文明の遺跡とか、見たことのないような動植物が生息してるって話。もちろん魔物も多いし・・危険な場所だけどね。」
楽しそうに説明をする彩詩。狩月は頷きながら説明を聞いているが、何処をメモすれば良いのか分からず紙は白紙のまま。
「さて、それじゃあ最後、私の故郷でもある国ね。」
そう言うとアレト大陸の右上に幾つかの島を描く
「「緋桜ノ国」って呼ばれている島国。国交があるのはネスフェレス皇国だけ。この国は武術や魔法体系、武器とかの品物も大陸とは違っていておもしろいよ。まぁその辺は省略で。これで地理は終わりだけど、何か質問はあるかな?」
ん〜〜と体を伸ばしながら狩月に声をかける。
「特には無いです。」
しばらく悩んだ後そう答える狩月。にこっと笑う彩詩。
「何か質問はあるかな?出席番号一番、狩月君。」
聞こえなかったのか、再び問いかけてくる。
「無いですよ、ダイタイ理解できたと思いますし・・」
「何か質問は?」
笑顔を浮かべながら繰り返す彩詩。
「あの・・彩詩さん?」
「質問かな?」
「いやだから・・特には・・」
「質問は?」
何かを質問しないと終わりそうに無いと判断して、とりあえず考える。
(質問・・質問・・「何でこの大陸に?」なんか変だし・・う〜〜〜ん・・)
しばらくの沈黙、彩詩は相変わらずニコニコしながら黒板に何かを書き始める。〔←私の故郷〜〕、〔未開の地が一杯〜〕・・どんどん書き足していく。
(・・・質問しないと絶対ダメだな・・)
意を決して声をかける。
「彩詩さん。」
(・・無視された・・なんでだ?)
彩詩は無言で黒板に〔私は先生〜〕と書き込んだ。
しばらく考えて、狩月は手を上げると席を立つ。
「彩詩先生、質問してもよろしいですか?」
「はい、何かな?狩月君。」
待ってましたとばかりに振り返る彩詩。
(・・・・やっぱり変な人だ・・)
「緋桜ノ国って武器とかの品物が違うって言ってましたけど、どんな風に違うんですか?」
とりあえず思いついた質問をする。「省略〜」と言っていたがとりあえずそれは置いておこう。
「素直でよろしい。」
嬉しそうに笑いながら説明を始める。
「武器の形が結構特殊でね、大陸では両刃の剣が基本で、片刃の剣が少ない。だけど緋桜では片刃で反りのある刀って呼ばれる剣が中心なんだナイフの長いやつって言った方が想像しやすいかな?あ、もちろん槍もあるよ。あと、斧を使う武術って言うのは無かったはずだよ。刀と槍が武術の基本になってる。」
と説明を終えると何かを思いついたように手を叩く。
「訓練終わったら部屋においで。自慢の品を見せてあげるよ。」
絶対だよ。と念を押してきた。はい、と頷いくとよしよしと満足気に腕を組む彩詩。

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