《MUMEI》

「ただいま!」
「おーいっぱい買ってきたな!」
日高はテーブルの上にある雑誌をまとめだした。
「よっ!長沢帰ってきたか!」
朝倉はドカリと袋をテーブルに置きながら言った。

俺はゆっくりと起きあがりながら

「疲れたよー、ずっと立ちんぼだったし…」
「そうなんだ?俺は最初から最後まで座れたよ」
聖ちゃんは小さな袋だけを下げながら部屋に入ってきた。






「何これ…」
「見てわかんない?ハッピーセットだよ」

俺の前に置かれたマックのハッピーセット…

おもちゃ付き…


「さー食おうぜ!」
プシュリと聖ちゃん達は缶ビールを開けだした。



大量のケンタッキー…フライドチキン。


大量の…



ビール…。


「あ〜ケンタ久しぶり!まだ熱あつだ!」
「たまに食うと美味いね」
「あ〜ビールうまい!」

三人はチキンに被りつきながら盛り上がりだす。

「……」


俺はチーズバーガーに被りつく。


−−−…冷めてる。

ごくりとコーラを飲む。


−−−…氷溶けてる。


「一個欲しいなあ〜…」

チキンに手を伸ばすと、聖ちゃんにバシッと手を叩かれた。
「ダメ!子供には早いッ!」

「何だよそれ〜!」
すると朝倉が俺の背中をポンポン叩きながら言った。

「今日は逆らわない方がいいぜ?長沢


聖は普段あっさりしてるけど一旦根にもったらしつこいからな




まあ、なんだ、




ごちそうさまな、長沢」



「ごちそう…さま?」

「貢の財布から買ったんだよ!ほれ!」
聖ちゃんは笑顔で俺に財布を投げた。


キャッチした財布はチキンでべとついている……。


なんだか悲しくて涙が溢れそうなのをぐっと堪えながら財布を開ける。



「………はあ」


俺は財布を、閉じる。



ごまかした分きっちり無くなっている…

いや、それ以上に減った残金…。



豪快にシャンパンを開けだした聖ちゃん。


あれ高そうだな…


あれも買われたんだろーな…




宴が終わる頃には聖ちゃんの怒りがおさまっていますように…。




おさまってくれたらこれ位安いもんです…。



二度とこんなごまかしはしないと俺は、


溶けて薄まったコーラに…

硬く誓った…

「あ!なんだこのトランクス!長沢ダセ!」

「み!見るな!日高ッ!」


「アハハ!ペロペロキャンディ!」


「!!〜」



END

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