《MUMEI》

先輩に送ってもらいながら、反省した。

「……押しかけちゃってごめんなさい。」


「弥一って泣き虫だね。あと、悪いやつだ?」

先輩が指を絡め、耳元で囁かれた。


「……へぇ?!」

顔が熱い。


「今日は学校祭なのに線香の香りがする。」

首筋に先輩の鼻先が触れた感触がする。


「……せんぱ……」


「世喜。名前じゃないと離れないよ。」

今日の先輩、凄く、なんか、どきどきする。


「よ、世喜……」


「弥一、弥一に会ってから俺の世観は鮮やかだよ。おいで、みせてあげる。」

手を引かれながら、俺は先輩と遊歩道を渡り、丘を上った。

夕日に染まる町並みはとても綺麗だ、信号から流れる音楽はまるで鎮魂歌で、とても穏やかな日々だった。


「先輩と会えて良かった。」


「人を好きになるって薔薇色って言うけど、俺達は橙色だな?」

繋いだ手の温かさが夕日の色に染み出したみたいだ。

丘の上で二人、沈む夕日を眺めた。

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