《MUMEI》

「──────‥」

‥分からないな‥。

珠季の奴‥

あんなに苛立っていたというのに──

急に正気に戻ったみたいだ。

「あーあ、小遣い使い果たしちまったな──」

「自業自得だな‥」

「ンだよ、あの機械がポンコツだから悪いんだろ!? ‥何だよ」

「君は浮き沈みが激しいな──」

「‥余計な世話だッつの」

「ところで──」

「‥ん」

「他に何かやりたいのはあるかい?」

「‥何だよいきなり‥」

「せっかくのデートだ、楽しまない手は無いだろう?」

「ちゃっかりしてんのな」

「どうも」

「褒めてねーよ」

笑いながら珠季は言って

僕の手を握った。

「もうはぐれんのは御免だかんな」

「──そうだね、僕も同感だ」

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