《MUMEI》

「もう1人で突っ込むのはやめろ。」


「あぁ?」


「お前の気持ちもわかるけどよ…」


「何言って…」


「あの時、」


「?」


「麻倉にやられた借りを返そうとして突っ込んでんだろ?」


「…」


「俺も、


あいつに借りは返したい。


でもそれ以上に、


この試合マジで勝ちたくなった。」


「!」


「俺がお前を活かしてやる。


だから、


1人で突っ込むのはやめろ。


それとも…


俺じゃ役不足か?」


「…」


視線を反らす猪狩。


そしてその視線の先には、


クロのことを心配し駆け寄る赤高の選手たちの姿があった。


(猪狩…)


その中にいたユキヒロと、


猪狩の目が合う。


「まぁ…


あいつらよりは…


信頼できないこともない…」


「…決まりだな。」

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