《MUMEI》
宅配・出張サービス
元旦


「おはよう、田中君」

「…おはようございます」


屋代さんは相変わらず爽やかな目覚めだったが、俺は慣れないこたつで寝たせいか、体の節々が痛かった。

「明けましておめでとうございます」

「あぁ、おめでとう。…そろそろ騒がしくなるな」

「え?」


ピンポーン!


「おせちお届けにあがりました!」


(この声…)


「はいはい」


屋代さんは苦笑しながら玄関に向かった。


ガチャッ


「明けましておめでとうございます!」

「今更改まっても、お年玉の金額は変わらないぞ」


屋代さんの声に、おせちの重箱を抱えた人物


祐は、舌打ちしていた。


それから、祐は『出張サービスだ』と言って、台所で雑煮を作った。


祐が作ったというおせち料理は、去年志貴の家で食べた内容と違っていた。


祐曰く


今回のが昔から日本に伝わる正式なおせち料理と雑煮で


志貴の家のおせち料理は洋風要素を取り入れた今時のおせち料理らしい。


(見た目地味だけど、こっちもうまいな)


祐の説明を聞きながら、俺と屋代さんは黙々とおせちを食べた。

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