《MUMEI》
スケジュール把握
「祐也は今年は年賀状大丈夫なんだよな?」

「あぁ」


祐の言う通り、俺は今年の年賀状は、元旦に届くように出した。


そこには、俺の文化祭の時の一番人気の衣装


静の振袖姿の写真が付いていた。


(本当は嫌だったんだけどな…)


『年賀状用に撮影したのじゃなきゃいいのよね?』


既に印刷済みの年賀状を用意してニッコリ微笑んだ志貴は


かなり、迫力があった。


「で、祐希も暇だよな?」

「…慎に聞いたのか」


(あ、嫌な予感…)


祐は、志貴そっくりに、ニッコリ微笑んだ。


『祐の外見や笑い方は、志穂に…というより高山一族にそっくりなんだよな』


昨夜、屋代さんが語った言葉が頭をよぎった。


そして、俺と屋代さんは


まず、祐と三人で屋代さんの運転で津田家に向かい、着物に着替え


それから、高山家へ


…本家の方へ、挨拶に行く事になった。


(とりあえず、…女物じゃなくて良かった)


緊張する屋代さんの隣で


俺は、そんな事を考えていた。





呑気に構えていられたのは、ここまでだった。

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