《MUMEI》
思わぬ出迎え
「何で忍がここにいるんだ!?」

「呼ばれたから」


(呼ばれたからって…)


「ちょっと来い!」


俺は、俺達を出迎えた忍を外に連れ出した。


「年始の挨拶も無しか」

「それどころじゃないだろう。こんなとこに来てていいのか?」


俺は叫びたい気持ちをぐっと堪えて小声で質問した。


俺の記憶が確かなら、三が日は春日家はパーティー三昧のはずだ。


『寂しい思いをさせてごめんね、祐也』


あの、パーティー嫌いの旦那様ですら、そう言っていたほど、忙しいはずだ。


「お前だって昔は、旦那様と一緒に俺を放置したくせに」

「そうだな」

「じゃあ、何でここにいるんだよ」

「…今の当主の力量を試す為だ。俺がいなくてどこまでできるか」

「大丈夫なのか?」

「ついでに、俺の後任候補を何名かつけてきた」

「でも…」

「お前に心配されるようでは俺も終わりだな」

「な!」


(心配なのはお前じゃなくて、旦那様の…春日家だ!)


そう言おうとした俺の唇を


「!!!」


忍が、自分の唇で塞いだ。


「感動の再会は終わったかい?」

「ええ」


いつの間にか来ていた大さんに、忍が余裕で答えた。

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