《MUMEI》

「おい、撮んぞ」

「ん‥、ぁぁ‥」

僕は

どちらかというと‥

写真を撮られるのは苦手だ。

あまり笑わないしね。

というか‥

緊張してしまうんだ。

彼女と2人で撮るなんていったら

尚更。

「何固まってんだ? オマエ‥」

「か‥固まってなんかいないさ、ただ‥」

ただ

少し上がってしまっているというだけで‥。

「撮んねーのか‥?」

「ぃゃ、その‥‥‥」

‥困った。

このままだと‥

また気まずい展開に‥。

「撮んぞー」

「っ!? 珠季っ、ちょっと待て‥」

言った時には

もう既に──

画面には僕らの画像が取り込まれてしまっていた。

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