《MUMEI》

「さぁ──いちいち数えていないから分からないけれど」

「〜〜〜〜〜〜‥」

「とにかく、髪型はそのままにして──もしだったら──」

「わあった、じゃあこのままにしとく。──お前、ちゃんと笑えよな」

「難しい命令だな──」

「‥何だよ、いっつもアタシの事笑うじゃねーか」

「なら──君が僕を笑わせてくれないか」

「はぁ?」

珠季が

素頓狂な声を出した。

「何でアタシがオマエの事笑わしてやんなきゃなんねーんだよ」

「僕に笑って欲しいんだろう?」

「ッ‥」

また苛ついたのか

彼女は顔をしかめた。

けれど──

何を思ったか

肩から下げているバッグを開けると‥

菓子パンの袋を取り出した。

「ほら、これでどーだよ」

「ぇ」

メロンパンで釣ろうとしているのか?

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